沙紀
マナはそれだけ言い、彼等に背を向ける。そんな彼女に幸一はついていこうとし……もう一度、沙紀達、生徒会の面々を見つめた。
沙紀を除く三人はしかめっ面だ。幸一に早く出て行けと言わんばかりに。多分、自分達の会話の中に何か不機嫌にさせるものがあったのだろうと、幸一は一人で納得する。
ただ、沙紀の表情だけはどういう感情を内包しているのかつかみかねた。笑ってはいても、その笑顔がどうにも作り物めいて見えてしまうのは、現実離れした彼女の美貌が原因なのだろうか?
幸一は彼女達に頭を下げると扉を慌てて閉め、マナを追う。
扉が閉められたと同時に、男子学生が声を荒げた。
「クソッ! どうします、五人揃ってしまいましたよ! 何か手を打たないと!」
「磯辺君、貴方の首の上にあるものは、飾りかしら?」
背筋が凍るような冷たい視線を向けると、磯辺と呼ばれた副会長の顔が恐怖に引きつった。
「彼等の扱いは、国連の議題に上がるほどのもの。露骨であからさまな妨害をしたらどうなると思って?」
形の良い柳眉をしかめると、彼女は機械的に言葉を紡ぐ。
「彼等の妨害は、合法的に行なわれなければならないのよ。しかも私達が直接関わる事無く、大多数の生徒の意思によってね」
裁くべき相手がいなければ、国だろうが国連だろうがそうそう文句は言えない。
「余計な手出しは無用よ、いいわね?」
確認に、三人は無言で頷くだけであった。