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「それもそうだね。あのケンカ見たら、夜は必ずうなされるよ」
「えっ……! そんなにスゴイんですか?」
「そりゃあ、もうねえ」
冗談めかした返答に元気付けられた訳ではないが、マナからも軽口が飛び出した。
それでも、不安は消えない。胸の奥底に沈んだだけだ。
幸一が、いつまで『大丈夫』と言えるのだろうか、と。
硬質そうな扉が軽くノックされた。コンコンと音が鳴ると、返事も待たずに開けられる。部屋の中央の円卓を囲んでいた四名の人間は相手の姿を見て息を呑む。いや、正確には相手が連れている見知らぬ人物の顔を見て。
「十人十色サークル部長のマナ・ラングレーです。サークルの公式認可を頂きに参りました」
先程の冗談めいた調子とは似ても似つかない。幸一はマナと、残る三人が見つめている一人の女性を見比べた。
「……なるほど。彼が五人目ですか」
沙紀が、確認の意味合いも兼ねて問う。
それは、笑ったのだろうか? 唇の端をほんの数センチだけ吊り上げた彼女の表情は、氷の様に冷たく感じられる。
「……君、そこのサークルに入るという事が、何を意味しているのかわかっているのかな?」
沙紀の隣りに座っていた神経質そうな男が、眼鏡のつるを人差し指で押し上げながら聞く。それは一種の恫喝だったのだが、いかにもそういう機微に鈍そうな幸一は、質問に質問で返した。
「えっと……このサークルが存続されて、万々歳なんじゃないんですか?」
しかし幸一の本音は、彼にはからかいと受け取られたようだ。激昂し席を立つと、
「ええそうよ。生徒会長としても、サークルが存続してくれるのは嬉しい限りだわ」
それを遮るように沙紀が制し、二枚の紙をマナに手渡した。文化サークル棟の一室の使用許可証と、サークルの公式認可証である。
「貴方達の健闘を祈っているわ」
「……失礼します」