くぉら

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大志田

大志田

大志田大学は、山間に位置する大学である。市が地球温暖化を見据え、三十年程前に山の土地を買い叩き、大学を現在の位置に移したのである。確かに、その政策は的確なものだった。温暖化が本格化し、海面が上昇を始めると、高地の地価が三倍以上に高騰したのだから。だが、そんな地価の高い高地故に、交通は不便だ。大半の生徒は一時間に一本あるかないかの電車で通い、教授は電気自動車を一時間程乗って大志田大学に着く。

 さらに、大学近くに住宅が少ない為、コンビニもない。ここの住民の大半は大学の寮に住んでいるが、スーパーもコンビニも無いので電車で街に赴き、食糧等を買い込んでくるしかない。今、学生をターゲットにした大型マンションが建設中だが、これが立った暁にはコンビニが進出するのでは、と学生は期待を込めてそんな噂をしている。そんなコンビニも無い盆地、しかも山奥の大学であるから夜になると途端に冷え込む。逆に、昼間は暑い。五月上旬に『最高気温27℃、最低気温9℃』とはどういう事か?

「ハックション! ……うう、さ、寒い」

その寒さは、大志田大学に通いだして僅か三日の幸一には想像出来ないものであった。一度アパートに戻って薄いジャンバーは用意してきたが、これでは厚い冬用のコートが欲しいくらいだ。

「ホント……どうしてこんなに寒いの?」

 同じくS棟前で待っていたロザリアは準備が良い。セーターの上にコート、毛皮の手袋にマフラーと、むしろ暑くないのかと問われそうな程着膨れしている。

「ウゥゥ……こういう時は、ヘビがベースってイヤだなぁ」

 ロザリアは自分の身体を抱き締めて独白するが、さすがにこれだけ厚着をしていると寒くはないようだ。

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