フランク
「と、と、ところで、フランクさんはどうしてこの授業、受講しているんです?」
去年も受けていたと、ジェスと言い合っていた記憶がある。
「よくぞ聞いてくれた!」
大声に、みながこちらを見る。しかしフランクはそんな事は気にしていない。人を引き裂けそうなほど大きく、鋭い爪を供えた巨大な手で拳を作り、熱く語り出す。
「始まりは二年前。未熟なオレはこの倫理学の授業が、学内でもっとも単位の取りにくい授業だとは知らずに受講した。まあ、それも仕方ない、一年生なんだしな」
腕組みをし、グルルと唸る。
「一年目は返り討ちにあったオレだったが、二年目はそれこそ全精力を倫理学の単位取得の為に向けた。何せ、一年目に落とした単位は結局、倫理学だけだったんでな……が、どういう訳かオレの完全と思われたテストの論文にも穴があったか、落とされてしまった」
ぬぅぅぅ、と握った拳は音が聞こえてきそうなほど強く握られる。サイの頭部を持つ口元は、これ以上ないというほどに歪められていた。
「オレは納得出来なかった。あれほどやったのに、何故と。男子たる者、やはりリベンジせねばなるまい」
言い終えた所で、フランクははたと気付いた。隣りの幸一がやけに静かになっている。
首が、クタ〜ッと、死人のように力無く折れ曲がっていた。