くぉら

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バイズ31

バイズ31

学生が受ける授業は、大別すると二つある。共通教育科目という、どの学部の学生でも受ける授業と、専門教育科目という、特定の学部の学生のみが受ける授業。

 今、幸一が向かっているのはL棟というもっとも大きな講義棟。講義棟はその大きさでS、M、Lと分かれている。共通教育科目のように百人を超えるような大人数の授業だと、四つしかないL棟が用意される。

 だが、L棟が用意されるということは、その受講者数はとんでもなく多いという事だ。故に、幸一がL―2教室に入った時は、我が眼を疑った。

 扉を開けた瞬間、ムアッとした気持ち悪い空気が顔をなでる。人、人、人の群れ。教室という鍋の中に人間という具材がこれでもかと放り込まれたような光景。

 だがその中で、ポツリと人がいない場所がある。二メートルを軽く越すであろう巨体。半袖から出ている腕の皮膚は灰色。その後姿だけで誰なのかわかってしまった。

 フランクには申し訳ないが、この姿を大衆に晒すほどの度胸は持ち合わせていない。幸一は彼の眼に入らぬよう、端の席に異動しようとする。だがフランクが欠伸をし、ストレッチにと椅子に座ったまま後ろを見る要領で腰を回した為、その姿はガッチリと彼の細い二つの眼に捉えられてしまった。

「んんん〜……お、コウイチじゃねえか!」

 皆の目が、ザクザクと幸一に突き刺さる。『おい、あいつ誰なんだよ』『なんでも、例の化物サークルに入部した人間らしいぞ?』『ってことは、あいつはあのサイの餌か?』ある事無い事を付け足され、音速に匹敵する速度で情報が流れている。

「ここだ、ここ! 席空いているぞ!」

 とんでもない大声で叫ばれ、手近な机をバシバシ大きな音をたてて叩く。ここでフランクの存在を無視する度胸を、幸一は持ち合わせていなかった。よって、この状況から逃れる手段は無い。幸一は観念してフランクの隣りまで歩み寄る。

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