デジラ
「黙れ、仮面オタクが。日本最高の特撮映画は『デジラ』だ! なんと言ってもハリウッドに進出したくらいだぞっ!」
鼻息荒く『仮面バイダー』と『デジラ』について激論する二人を尻目に、部屋の左手前にいたロザリアが歩み寄り、彼の手を握る。
「えーと、人文学部のロザリア・ハーディング。学年は同じ一年生。趣味はお裁縫。苦手なモノは勉強全般と早起きなんで、テスト前は色々教えてね。出身国はフランスでぇー、ベースは両生類とか爬虫類とかが色々混ざっているけど、基本的にはヘビらしいよぉ」
ヘビのようにはとても見えない、あっけらかんとした態度で『よろしくー』とブンブン握った手を振る。
部屋の左奥にいたマナが締めるようにまとめる。
「で、私で最後だね。教育学部二年、このサークルの部長を務めているマナ・ラングレーです。出身国はイギリス、一応、四分の一だけど、日本人の血も混ざってるよ。俗にいうクォーターだね。趣味は、料理。もしよければ」
「やめておいた方がいいよ」
「せっかく入った新入部員だぞ?」
「……マナ君。人間の彼を、君の料理で殺す気かね?」
……三人が同時に割り込んだ。全員、空恐ろしいものに遭遇したかのような顔。
「な、なんですかみんな揃って! 人の料理を毒物みたいに!」
「毒とまでは言いません」
「そこそこ美味いしな」
「一言で総括するなら、辛さの加減をどうにかしてくれ……」
ジェスの言葉にロザリアもフランクも力強く頷く。
「君は、人がどこまで辛さに耐えられ得るか実験台にしているのではないかという疑問が、時々僕の頭の隅を掠めてしまう。丁度良い機会だ、ここでその真意を問おう」
「なっ! 確かには私は辛党ですけど、そんな暴力的なまでに辛くは」
「暴力的か……マナ、こういうのはなんだけどよぉ、あれはむしろ殺人的だぞ?」